会社法における役員の責任追及は、役員の会社に対する場面(会社法423条)と第三者に対する場面(会社法429条)とがあります。
会社法423条の責任を論じる際に、しばしば「経営判断の原則」が用いられます。これは取締役の経営判断を尊重し、善管注意義務違反を制限する法理といえます。
さて、この経営判断の原則は会社法429条の責任の場面でも妥当するのでしょうか?
個人的には非常に微妙な気がしています。
そもそも経営判断の原則を導くのは、会社の所有者である株主から取締役が経営を委託されているという関係から導かれるものです。つまり、受任者の広範な裁量を認める法理ともいえます。
経済的な視点からはある意味当然の考え方とも言えそうですが、法解釈的に説明しようとすればこうなるのではないでしょうか。
そのため会社法423条により責任追求する場合では、自分の選んだ取締役の判断を第一次的に尊重することになるんだと思います。その上で、その判断が著しく不合理である場合に責任が認められることになるんだと。
すると会社法429条の場合はどうでしょうか。ここでは第三者に株主を含めずに考えてみます。
経営判断の原則はあくまで受任者の経営裁量を認めるものであるというのは、それを選出した株主との関係においてのみ正当化できるのではないでしょうか。
債権者などの第三者は、その取締役を選出する権限・機会が与えられておらず、株主の選んだ取締役の判断を尊重することを強制するのは、法的に根拠が薄いように思われます。
取締役の任務懈怠という要素は会社法423条の場合と異なるところはありませんが、誰に対する責任かという意味では、経営判断の原則を用いることができるかに差異が生じるように思われます。
個人的にはこんな感じに思います。
この点、何らかの文献があれば紹介していただけると嬉しいです。
<今日の判例~憲法⑤>
→国民健康保険と租税法律主義(最大判H18.3.1)
国又は地方公共団体が、課税権に基づき、その経費に充てるための資金を調達する目的をもって、特別の給付に対する反対給付としてではなく、一定の要件に該当するすべての者に対して課する金銭給付は、その形式のいかんにかかわらず、憲法84条に規定する租税に当たる…。
憲法84条は、…国民に対して義務を課し又は権利を制限するには法律の根拠を要するという法原則を租税について厳格化した形で明文化したものというべきである。したがって国又は地方公共団体等が賦課徴収する租税以外の公課であっても、その性質に応じて、法律又は法律の範囲内で制定された条例によって適正な規律がされるべきものと解すべきであり、憲法84条に規定する租税でないという理由だけから、そのすべてが当然に同条に現れた上記のような法原則のらち外にあると判断することは相当ではない。そして、…規律の在り方については、当該公課の性質、賦課徴収の目的、その強制の度合い等を総合考慮して判断すべきものである。
2007年の短答で出ちゃいましたね。だけど今年も短答で出そうな予感がします。
