刑事訴訟においては伝聞証拠に証拠能力は認められず(320条)、伝聞例外を満たした場合にのみ証拠能力が認められます(321条など)。そもそもここにいう伝聞証拠とは何でしょうか。
多数説によると、伝聞証拠とは反対尋問を経ていない供述証拠を意味します。これは供述証拠は知覚、記憶、表現、叙述という過程を経るため、誤りが混入するおそれが類型的に高く、反対尋問により真実性を確認できない以上は証拠とできない、という観点から説明されます。
これに対し、公判廷外の供述証拠を意味するとの見解もあります。いずれにしても「供述証拠」というのが鍵になってきます。
そこで供述証拠とは何かを考えると、ある事実を知覚し、それを記憶し、それを叙述するという過程を経て証拠化されたものをいうとされます。これは先の多数説の理由づけから導かれますが。
そして伝聞証拠に当たるとするにはもう一つ、その供述証拠が「供述証拠として」用いられることが必要になります。「供述証拠として」とは、立証趣旨との関係で意味内容の真実性を問題にする場合を指します。
つまり発言の存在それ自体が問題になる場合や情況証拠として用いられる場合は伝聞証拠に当たらないことになります。
さて、こうして考えると、ある一つの証拠が要証事実との関係で伝聞になったり非伝聞になったりするわけですよね。弁護人としては、関係を考えた上で、「異議あり、伝聞です」と言わなければならないと。
ただそうすると検察側としては、伝聞証拠に当たるものを先に非伝聞として用いるという方法により、伝聞証拠を顕出させるという方法を採ったりしないのでしょうか。もちろん、意味のない立証の場合は除きます。後で伝聞例外の要件を満たさないとしても、すでに非伝聞として証拠提出されるわけです。
うまい具合にこういう関係に立つ例があれば、先後関係はこうしたくなりますよね。
そうすると、本来は伝聞証拠であるため提出できないものが、非伝聞として公判廷に出てくることになります。裁判所の心証形成も要証事実に限られるはずですが、あくまでそれは理論的な話で、実際はかなり難しいのではないでしょうか。
裁判官の方に聞いてみたいですね。
伝聞証拠の相対性がやや気になる今日この頃です。
そういえばカウンターが100に近づいてきました。
ちょうど100を確認できた方がいましたら、お知らせいただけると嬉しいですね。
